TOP > 恋せよ、オトメ。 浅野妙子・連載エッセイ
人は、どうやって結婚を決めるのか。
結婚を一夜で決める人もいれば
十八年かかる人もいる。
結婚を一夜で決める人もいれば十八年かかる人もいる。
いずれも私の身近な人たちのケースだ。
仕事仲間のA氏は、同じ女性とつきあって結婚を決めるまでに十八年かかったクチだ。
学生時代からの交際で、結婚したときには三十八になっていた。
相手も同じような年齢だ。
「なんでもっと早く結婚しなかったの?」と、尋ねると、彼は頭をかきながら、
「いやあ、最後の三年間は、何度も『結婚しよう』って言葉が口から出かかったんだけど……。でも言えなかった」と、恥ずかしそうに言う。
結婚したいという気持ちはあるのに、それを十八年も口に出来ない人がいるというのは驚きだ。
そして、「結婚して」の一言も言わず(彼女は言わなかったそうである)十八年待てる女性がいるということは、それ以上の驚きだ。

そんな気の長い二人が結婚に踏み切ったきっかけは、A氏の上司の一言なんだそうだ。
ふとしたときにA氏のカノジョの存在を知ったその上司は、
「いいか。今すぐ、彼女と結婚しろ。でなかったらお前をクビにする。俺は本気だ。十八年も一人の女を待たせて、その責任を取れないようなヤツは、社会人としても最低だ。わかったか」
と、真顔で言ったそうだ。
その言葉に恐れをなした、というよりも、上司が自分たちのことを真剣に心配してくれている心情にほだされて、彼はすぐさま、籍を入れたんだそうだ。
いやー。いい話じゃないですか。
「結婚」に執着せず、相手に執着したからこそ
結果的に結婚できたのである。
もう一人、最近、同窓会で再会した友人のB子は、離婚した直後に別の相手と再婚したと話してくれた。
離婚直後、親しい友人だけを集め、新たな人生の門出を伝えるささやかな飲み会を開いたところ、今の夫となる人に
「実は……好きでした!」と、電撃告白されたというのだ。なんとまぁ、ドラマみたいな、そしてなんとまぁ、羨ましい話だろうか。
それまでは、彼に対して恋愛感情などひとかけらも抱いていなかった。
気楽な茶飲み友達の一人ではあったが、彼のほうが十五歳も年下だし、
「私のことなんかオバサンとしか見てないでしょ」と、
恋愛対象から完全にはずしていたというのだ。
「ありがとう。私、今、凄く寂しいから、今夜、泊まっていってくれる?」
と、B子は言ったそうだ。
以来、彼は彼女の家に泊まり続けている。
で、結婚もした。
「見た目は?タイプだったの?」
「それまではちっとも気がつかなかったけど、よく見てみたらタイプだったの」
「でも、でもよ、それまで全く恋愛対象じゃなかった人と急に一緒に暮らし始めて、ペース乱されたり、なんか違うなあってイライラしたりとか、無かったの?」
「ぜんぜん。前の夫との結婚生活が辛かったから、それに比べると天国」
こんなのって、アリか。いや、でもあるんだね、世の中には、こういう夢みたいなことが。
今まで何度かエッセイに書いたけれど、私自身のケースを話そう。
私は、三年半つきあった夫に「君のことは好きだけど、結婚は出来ない」と言われたが、「結婚しなくてもいいよ。試しに一緒に暮らしてみよう」と持ちかけて同棲し、その半年後に結婚した。
別に、同棲をきっかけにして結婚に持ち込んでやろう!と意気込んでいたわけではない。
本当に、今が楽しければいい、この人と少しでも長く楽しく過ごせればいいと思っていたのだ。
私の仕事仲間A氏と結婚した女性も、きっとA氏に対して同じように思っていただろう。
十五歳年下のカレと結婚したB子もだ。
向こう見ずの出たとこ勝負で、ダラダラしていて、いいかげんな人のほうが、結婚しやすいというパラドックスか。
いや、他の二人を巻き添えにしては申し訳ない。少なくとも私はそうだ。「結婚」に執着せず、相手に執着したからこそ、結果的に結婚できたのである。
カッコ付きの「結婚」にこだわっている人は、結婚をゴールだと思っているけれど、結婚て、プロセスなんだよね。
誰かを好きになって共に時間を過ごしてゆく、その途中のプロセス。
恐れず、飛び込んでみるものです。
(Oggi2010年8月号掲載 イラスト/大橋美由紀 本誌デザイン/十時かの子)
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コメント一覧
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- 2010年11月23日 17:21
- 女は自分に言い訳をする。
結婚したいと思っている女性が10年近くも付き合っていたら・・・
彼は結婚を望んでいないのか?要するにそれほど私のことを愛していないのか。
と疑ったとしても、彼の言葉、今まで過ごしてきた時間、思い出もあり、プライドもあり、なかなか手放すのは難しいだろう。
でもそれは未来が不安だからじゃないのか?
もし今以上に素敵な未来が待っているんだとしたら・・・きっと手放すだろう。
女は自分に言い訳をする。
傷つきたくないから。
でもそれこそが自分自身を苦しめている。
相手を好きになった自分への責任、見極めが一番重要で難しいのだと思う。
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プロフィール
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'94年に『無言電話』で第7回フジテレビヤングシナリオ大賞にて佳作を受賞後、『ラブジェネレーション』( '97)や、『神様、もう少しだけ』( '98)、『大奥』( '05)、『ラスト・フレンズ』( '08)、『イノセント・ラヴ』( '08)、『八日目の蝉』( '10)、『月の恋人』( '10)など、数々の大ヒット作品の脚本を手がける。
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デートをする人は
ぽつらぽつらとできるのに、付き合うまでに至らず・・・
やることやってるだけの私。
でも本当に好きになる人とはうまくいかない。
その都度、真剣なので後悔は一切ありませんが
結婚して子供を持つ友人が増える今日この頃
自分は何かがおかしいのではと思い始めていました。
しかし、お母さんくらいの年齢の職場の女性と出張に行き
お酒を飲みながら色々な話をしているうちに
そんなことはどうでもよくなりました。
そして、この記事を見てもっとどうでも良くなりました。
私は周りと自分を比較しすぎだったのです。
自分は自分
が私のモットーだったのに、
実は一番そこにコンプレックスを感じていたのです。
でも改めて
自分は自分でいいのだと思えました。
でも自分中心過ぎるのでそこは直します。
ありがとうございます。